看護師も、退職を決めたからといって有給休暇の権利がなくなるわけではありません。ただし、退職前に残っている有給休暇を「全部」使えるかどうかは、残日数や退職日までの状況によって変わります。この記事では、その判断の基本となる考え方を整理します。
看護師は退職前に有給休暇を使える?
看護師も、退職を決めたからといって有給休暇の権利が消えるわけではありません。雇用契約は退職日まで続いており、在籍している間は、通常どおり有給休暇を取得する権利があります。反対に、退職日を過ぎてしまうと、その時点で雇用関係は終了するため、残っている有給休暇を後から使うことはできません。
また、看護師だからといって、有給休暇について特別なルールが適用されているわけではありません。他の職種と同じく、労働基準法にもとづいた年次有給休暇の制度が適用されます。
「退職前に有給休暇を全部使えるかどうか」は、残っている有給の日数と、退職日までに残された所定労働日数(勤務する予定の日数)とのバランスによって決まります。残日数がそのままそっくり消化できるとは限らず、退職日までに有給を配置できる勤務日が十分にあるかどうかを、あわせて確認する必要があります。この記事では、その確認方法を順番に見ていきます。
なお、実際にどこまで取得できるかは、契約内容や勤務表、退職日の設定、申請の状況によって一人ひとり異なります。一般的な考え方として読み進めていただき、自分の状況にあてはめて確認してみてください。
有給を全部使えるか確認する4つの項目
退職前に有給休暇を整理するときは、次の4つを確認しておくと、状況を把握しやすくなります。
1.有給休暇の残日数
まずは、自分にどれだけ有給休暇が残っているかを確認します。給与明細に残日数が記載されている勤務先や、勤怠管理システムでいつでも確認できる勤務先もあります。手元で分からない場合は、人事や総務に確認する方法もあります。確認する際は、直近の取得分や付与分がきちんと反映された、最新の日数であるかどうかも、あわせて確認しておくと安心です。数字にずれがあると、その後の日程調整も食い違ってしまうため、書面やメールなど記録が残る形で確認しておくと、後から見返しやすくなります。
2.退職希望日
退職日は、雇用契約が終了する日です。有給休暇を配置できるのは、この退職日までに限られます。そのため、退職希望日をいつにするかによって、残っている有給休暇を使い切れるかどうかが変わってきます。まずはおおまかな退職希望日を考え、そのうえで残日数と照らし合わせながら、無理のない日程になっているかを確認してみてください。退職希望日を後ろにずらせるほど有給を配置しやすくなりますが、実際に決められる日は、勤務先の規定や引き継ぎの状況によっても左右されます。
3.最終出勤日
最終出勤日は、実際に病棟やクリニックへ出勤する最後の日を指します。退職日と最終出勤日は、同じ日になるとは限りません。残っている有給休暇をまとめて消化する場合、最終出勤日の翌日から退職日までを有給休暇にあてる、という形になることがあります。この2つの違いを整理しておくと、退職までのスケジュールを考えやすくなります。混同したまま話を進めてしまうと、勤務先との認識にずれが生じることもあるため、早めに区別しておくことをおすすめします。
4.公休と勤務表
公休は、もともと勤務表上で労働義務がないと定められている日です。有給休暇は、本来は出勤する日に休暇を取得する制度のため、公休の日に有給休暇をあてるものではありません。看護師はシフト制で働くことが多く、勤務表の組まれ方によって、退職日までに必要な有給日数の考え方が変わってきます。公休と有給休暇を分けて数えることが、正しい残日数の把握につながります。勤務表が確定する前と後とでは調整のしやすさも変わるため、早めに公休の位置を確認しておくと安心です。
病院から有給取得は難しいと言われた場合
退職にあたって有給休暇の取得を申し出ると、「人手が足りない」「すでに勤務表ができている」といった理由で、難しいと言われることがあります。ただし、そのように言われたこと自体が、有給休暇の権利がなくなったことを意味するわけではありません。
まずは、残日数・申請した日・退職希望日・実際に言われた理由を、あらためて整理してみてください。口頭での説明だけで判断せず、就業規則に記載されている取得の手続きや、勤務先からの回答内容を確認しておくことも大切です。
どのように対応するのが適切かは、勤務先の事情や契約内容によって一律ではありません。難しいと感じる場合ほど、一人で抱え込まず、状況を整理したうえで、次の内容もあわせて確認してみてください。
退職前の有給休暇を整理する順番
ここまでの内容を、確認する順番として整理すると次のようになります。一つずつ順番に確認していくことで、思い込みや勘違いによる後戻りを防ぎやすくなります。
- 有給残日数を確認する
- 退職希望日を決める
- 退職日までの公休と勤務日を確認する
- 最終出勤日を整理する
- 勤務先の申請方法を確認する
この順番で整理しておくと、勤務先に相談する際にも状況を伝えやすくなります。先に結論だけを急いで求めるよりも、一つずつ事実を積み上げていくほうが、結果的に話し合いもスムーズに進みやすくなります。ただし、実際に必要な手続きや進め方、確認すべき窓口は、勤務先の規模や体制によっても異なります。分からない点があれば、その都度、人事や総務など担当の窓口に確認しておくと安心です。
まとめ
- 退職前でも在籍中であれば有給休暇を取得できる
- 退職日を過ぎると残った有給休暇は使えない
- 全部使えるかは残日数と所定労働日数で判断する
- 退職日と最終出勤日は分けて考える
- 公休には原則として有給休暇を使用しない
- 難しいと言われた場合は、状況を整理して確認する
参考情報
よくある質問
看護師は退職前に有給休暇を全部使えますか?
退職日までに有給休暇を取得できる所定労働日が確保できれば、残日数を取得できる可能性があります。実際の日数は退職日、公休、勤務表によって変わります。
退職日を過ぎても残った有給休暇を使えますか?
退職日をもって雇用関係が終了するため、退職後に残った有給休暇を使用することはできません。
公休日も有給消化の日数に含まれますか?
公休日はもともと労働義務がない日なので、原則として有給休暇を使用する日には含めません。
退職日と有給休暇の整理に迷っていませんか?
有給休暇の基本的な考え方は共通していますが、実際に取得できる日数や日程は、残日数、勤務表、公休、退職希望日によって変わります。
自分の場合はどのように整理すればよいか分からないときは、LINEからご相談ください。